胃腸炎・嘔吐下痢
胃腸炎とは?
胃腸炎は、胃や腸にウイルスや細菌などが感染することで発症し、主に嘔吐や下痢を引き起こします。似たような症状を引き起こす原因として、乳糖不耐症などの特定の食品の消化不良や、薬の副作用、感染症以外の消化器系疾患などが挙げられます。これらの中で胃腸炎は頻度の多い疾患であり、特にウイルス性胃腸炎は最も一般的な嘔吐、下痢症状の原因です。ノロウイルスを始め、様々なウイルスが胃腸炎の原因となります。
感染する主な経路は以下の通りです。
- 感染者やウイルスが付着した物に触れ、その後手を洗わない場合。
- ウイルスが含まれた食べ物や飲み物を摂取した場合。感染者が手を洗わないと、触れた食品や飲み物にウイルスが移ることもあります。
胃腸炎の症状は?
胃腸炎では、突然の吐き気、嘔吐や下痢で始まることが多く、人によってどちらか一方のみが起こることもあります。それ以外にも以下の症状が出ることがあります。
- 発熱
- 頭痛や筋肉痛
- 腹痛
- 食欲不振
大量の下痢や嘔吐が続くと、体内の水分が失われ「脱水症状」となります。脱水症状になると、非常に喉が渇いたり、疲労感、めまい、混乱状態になることがあり、尿の色が濃い黄色になることもあります。重度の脱水は命に関わる危険があり、特に高齢者は重篤な脱水症状に陥りやすいです。
検査は必要ですか?
通常、ウイルス性胃腸炎は、症状の聞き取りと診察だけで診断可能です。しかし、医師や看護師が脱水の程度を確認したり、どのウイルスが原因かを調べるために、血液検査、尿検査、便の検査を行うこともあります。
自宅でできる対処法は?
嘔吐や下痢で失われた水分を補給することが最も大切です。以下の点に気をつけましょう。
- 水分補給
- 少しずつ、15~30分ごとに小さな一口を飲むと良いでしょう。体調が回復し始めたら、飲む量を増やしましょう。
- 塩分を含む飲料
嘔吐や下痢で水分だけでなく塩分も失われるため、経口補水液やスポーツドリンクなど、塩分を含む飲み物で補給すると効果的です。単純に水だけを大量に摂る場合は、具のないスープなども摂って適切な塩分と水分のバランスを保つようにしてください。 - 糖分の多い飲料やアルコールは避ける
ジュースや炭酸飲料など、糖分の多い飲み物は症状を悪化させることがあるため、控えるようにしましょう。 - 食事
食事が摂れる場合は、うどんやゼリー、お粥、果物など、消化に良い食品を選びましょう。脂肪分や糖分の多い食品は症状を悪化させる可能性があるため、避けることが望ましいです。
なお、市販の下痢止め薬は原因ウイルスや細菌の体外への排泄を遅らせる可能性があるため、推奨されません。下痢がひどい場合は、自己判断で服用せず、医師に相談してください。また、糖尿病で自宅血糖を測定している方は、体調が回復するまで血糖値をより頻繁にチェックする必要があるかもしれませんので、かかりつけ医や看護師に確認してください。
いつ医療機関を受診すべきですか?
以下のような症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
- 極度の疲労感、強い渇き、めまい、または混乱などの脱水症状の兆候がある。
- 下痢や嘔吐が数日以上続く。
- 嘔吐物に血が混じる、または便に血が混じる。
- 激しい腹痛がある。
- 長時間(数時間以上)何も飲むことができない。
- 昼間に6~8時間以上、尿が出ていない。
治療法は?抗生物質は使ったほうがいい?
ほとんどの場合、ウイルス性胃腸炎は特別な治療を必要とせず、症状は自然に改善します。ただし、重度の脱水症状がある場合は、病院で点滴による水分補給が必要となることがあります。
ウイルス性胃腸炎はウイルスによる感染症であるため、抗生物質は効果がなく、使用されません。抗生物質は細菌感染に対してのみ効果があるためです。
予防法は?
ウイルス性胃腸炎の感染や拡散を防ぐためには、手洗いを徹底しましょう。特に以下のタイミングでは必ず手洗いをするようにしてください。
- トイレ使用後
- 食事前
- 料理を始める前
また、おむつ替え後は必ず手をよく洗い、調理や食事の場の近くでおむつ替えをしないように注意してください。