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高血圧

1. 高血圧とは?

1.1 診断基準(診察室血圧と家庭血圧の違い)

血圧とは、血液が動脈の内壁にかける圧力のことです。血圧は、以下の2つの測定値によって表記されます。

収縮期血圧:心臓が収縮(心拍時)したときの動脈内の圧力

拡張期血圧:心拍と心拍の間、心臓が弛緩しているときの動脈内の圧力

また、測定する場所や方法によって、診察室血圧、家庭血圧、24時間自由行動下血圧などがあります。一般的に血圧測定と言った場合は、診察室血圧か家庭血圧のどちらかを指すことが多いです。

血圧は通常、収縮期血圧/拡張期血圧(例:120/70)のように記載されます。この収縮期血圧もしくは拡張期血圧、またはその両方が高い状態が高血圧です。高血圧の基準となる数値は国ごとに微妙にばらつきがあります。日本においては主に日本高血圧学会の基準が用いられます。

さらにこの高血圧の基準は、診察室血圧と家庭血圧で異なります。診察室血圧は140/90 mmHg以上、家庭血圧は135/85 mmHg以上の場合に高血圧と定義されます。詳しい血圧の分類は以下のようになっています。

<診察室血圧の分類>

<家庭血圧の分類>

診察室血圧と家庭血圧の値が大きく異なることがあります。診察室でのストレスによる血圧上昇は白衣現象、白衣高血圧として知られています。逆に診察室血圧が正常で家庭血圧が高血圧の状態は仮面高血圧と言います。これらの高血圧を見分けるために、診察室血圧と家庭血圧の両方を測定する必要があります。

成人の高血圧の多くは、「原発性高血圧」です(従来は「本態性高血圧」と呼ばれていました)。原発性とは、高血圧の原因が明確でないことを意味します。一方で、高血圧の一部には、背景に腎臓やホルモンの異常、睡眠障害など治療可能な原因が隠れていることがあり、それらは二次性高血圧と呼ばれます。原発性高血圧と二次性高血圧では治療法が異なるため、治療開始前に両者を見分けることが重要になります。

1.2 日本における高血圧

日本における高血圧者数は約4300万人と推定され、そのうち3100万人は管理不良と言われています1)。このうち、高血圧を認識していない人が1400万人、認識しているが未治療の人が450万人、薬物治療を受けているが管理不良の人が1250万人と推計されています。

日本では食塩摂取量が多いことが知られていますが、近年では肥満に伴う高血圧が増加しています。

また、高血圧は年齢とともに増加します。2016年国民健康・栄養調査によると、40~74歳で男性の60%、女性の41%、75歳以上では男性の74%、女性の77%が高血圧でした。

2. 放置するとどうなる? – 主な合併症

高血圧を治療せずに放っておくと、心臓や血管に過度の負担をかけ、最終的には臓器の損傷を引き起こします。高血圧は心不全、心筋梗塞(心臓発作)、脳卒中、透析が必要となる腎不全などの命に関わる疾患のリスクを高めます。高血圧を治療することは、そのような致死的疾患のリスクを下げ、健康上の問題を予防する効果があります。

3. 症状はある?ない? – よくある誤解

高血圧は通常、特有の症状を引き起こしません。そのため、定期的な健康診断などで早期に発見することが重要になります。ごくまれに高度高血圧(180/120mmHg以上)で、頭痛や吐き気、胸痛、呼吸困難、視力低下などが現れることがあり、進行性の臓器障害を伴う場合は緊急での血圧管理が必要となることがあります。

会社の健康診断や人間ドックで高血圧を指摘された場合は、速やかにかかりつけ医もしくはお近くの医療機関にご相談ください。

4. 血圧の測り方ガイド

4.1 いつ・どこで測る?

家庭血圧は、1日2回、起床後1時間以内と就寝前に測定します。1日2回測定が難しければ、1日1回、同じタイミングで測定するようにします。同じタイミングで測定する理由は、血圧は1日の中でも時間帯によって変動があり、測定のタイミングが日によってバラバラだと血圧が高くなっているのか低くなっているのか評価が難しくなるためです。

起床後、排尿し、朝食やカフェインの摂取前に背もたれつきの椅子に座って1-2分安静にした後に血圧を測定します。2回測定し両方を記録、その平均値をその時の血圧とします。冬は起床時部屋が冷え切っていて、血圧が上昇することがありますので注意してください。

4.2 家庭血圧計の選び方

血圧計には、手首式と上腕式があります。手首式は使いやすいものの、動脈の圧迫が不十分で、不正確になることが多いため、上腕式が推奨されます。

一般的な上腕式血圧計は5,000円から1万円程度で購入できます。スマートフォンと接続できたり、心電図を一緒に記録できるものもあり、追加の機能がつくとその分価格が上がります。国内メーカーの上腕式血圧計であれば測定精度に問題はないと言われており 1)、購入後の使い方を検討して、必要な機能がついているものを購入すると良いでしょう。

4.3 測定記録の付け方

血圧手帳に記入して記録することができます。血圧手帳には数値式やグラフ式など種類があるため、記録しやすいものを見つけて記録するようにしましょう。最近はスマートフォンのアプリで血圧を記録できる機能もあります。中には、血圧計とスマートフォンをBluetoothで接続して無線で血圧データをアプリに保存できる機種もあります。また、後述する保険適応の高血圧治療補助アプリ(CureApp HT)を使えば、血圧データを医療機関と共有でき、アプリ上で生活指導を受けることができます。

記録がしやすく、長く続けられる記録方法を見つけて、漏れなく記録できるようにすると良いでしょう。

家庭血圧の測定方法まとめ 1)

装置

上腕式が推奨

測定環境

1)静かで適温の環境(特に冬場の寒い部屋での測定は血圧を上昇させる)

2)背もたれつきの椅子に座って1-2分の安静後

3)会話しない

4)測定前に喫煙、飲酒、カフェイン摂取をしない

5)カフ位置を心臓の高さに保つ

測定条件

1)必須条件

 a)朝(起床後)1時間以内

  排尿後、朝の服薬前、朝食前

 b)晩(就寝前)

2)追加条件

 a)医師の指示により、夕食前、晩の服薬前、入浴前、飲酒前など。自覚症状のある時、休日昼間など。

1回あたりの測定回数

原則2回測定する

測定期間

できる限り続ける

記録

全ての測定値を記録

評価

高血圧:朝晩いずれかの平均値≧135/85mmHg

正常血圧:朝晩それぞれの平均値<115/75mmHg

血圧の相談をする

5. リスク要因

様々な要因で高血圧をきたしますが、以下に代表的なリスク要因を挙げます。

・加齢

・肥満

・高血圧の家族歴

・塩分摂取量が多い

・アルコールの摂取量が多い

・運動不足

・睡眠不足などの身体的・精神的ストレス

6. 今日からできる生活習慣改善

6.1 減塩

まずは減塩です。具体的には、食卓にある食卓塩や醤油などの調味料を置かないようにしましょう。食事中に追加で味付けをするのをやめましょう。外食は、一昔前に比べれば、レストランのメニューにも食塩相当量が記載されているなど、工夫はされていますが、やはり自宅での食事に比べて塩分摂取量が多くなりがちです。外食頻度が多い方は外食の頻度を少なくし、家での自炊を増やしましょう。

スーパーで加工食品を購入するときは、パッケージ裏の成分表示に注目しましょう。2020年から食塩相当量の表示が義務化されており、その食品中にどれくらいの食塩が含まれているか一目で分かるようになりました。日本人の食塩摂取量は徐々に低下傾向にあるものの、平成29年の国民健康・栄養調査では、男性10.8g/日、女性9.1g/日と報告されており、依然として多い状態です 1)。ガイドライン上は減塩目標値は6g/日未満に設定されています。成分表を参考に1日にどれくらい食塩を摂取しているか理解することから始めてみましょう。

6.2 和食を取り入れる

野菜や果物などカリウムを多く含む食物の摂取により降圧効果が期待できます。ただし、肥満や糖尿病がある場合は果物の摂り過ぎには注意が必要です。また、慢性腎臓病患者ではカリウム制限が必要になることがあるため、まずは食事に関して医師や栄養士に相談しましょう。

野菜・果物・低脂肪乳製品が多く、飽和脂肪酸とコレステロールが少ない食事は血圧を下げる効果が期待できます 2)。野菜・果物を増やし、肉類やバター・植物油などの飽和脂肪酸の多い食物を避け、魚類やオリーブ油などの不飽和脂肪酸が多い食物を摂るようにしましょう。伝統的な和食はこの食事パターンに近いため、日常の食事に和食を取り入れると良いでしょう。

6.3 運動

習慣的な有酸素運動は、収縮期で2-5mmHg、拡張期で1-4mmHgの血圧低下が期待されます。血圧低下だけでなく、体重減少、糖尿病予防、メンタルヘルス不調の予防、認知症予防など様々な効果が報告されています。推奨される運動強度は、速歩やスロージョギング、ランニングなどで、体感的には「ややきつい」程度です。これを、65歳以上では1日40分以上、64歳以下では60分以上行うこととされています。

6.4 肥満・アルコール・たばこ

BMI 25を超える肥満は高血圧のリスク要因です。また、BMI 25未満でも内臓脂肪が多いと高血圧の原因となります。これらは高血圧以外にも糖尿病、脳心血管疾患、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群などを合併することがあり、注意が必要となります。

アルコールは、飲酒後数時間は血圧が低下しますが、長期的には血圧の上昇に繋がります。高血圧の管理においては、飲酒量は、男性でエタノール20-30mL/日(日本酒1合、ビール中瓶1本、焼酎半合、ウイスキーダブル1杯、ワイン2杯)、女性でその半分の10-20mL/日以下に制限することが勧められます。

喫煙は、血圧の上昇だけでなく、動脈硬化など脳心血管疾患のリスク上昇、肺がんや呼吸器疾患の要因となるため、禁煙が非常に重要です。当院では禁煙外来も実施しています。

6.5 ストレスマネジメントと睡眠

心理的・社会的ストレスや冬季の寒冷刺激が血圧上昇の要因となります。室温の管理やストレスの回避、解消が重要となります。睡眠障害も高血圧の発症を増加させます。

7. 薬による治療

7.1 降圧薬の選び方

降圧薬の選択においては、薬の効果や副作用に加えて、全体的な健康状態、性別、年齢、高血圧の重症度、その他の基礎疾患の有無、薬剤アレルギー歴などからそれぞれに最適な降圧薬を選択することが重要です。

一部の降圧薬は特定の患者に対して推奨されない場合もあります。例として、妊娠中は、ACE阻害薬およびARBは使用が推奨されません。利尿薬は痛風を悪化させる可能性があります。そのため、現在および過去の疾患歴を必ず医師に伝え、最適な治療薬を決定することが重要です。

血圧が非常に高い(例:160/100 mmHg以上)場合、単剤ではなく、最初から2種類以上の降圧薬を併用する治療が選択されることがあります。1つの降圧薬を増やすより、2種類以上の降圧薬を併用した方が、降圧効果や副作用の点で優れているためです。

また、内服を忘れずに続けることも、治療においては重要なポイントです。飲み忘れを防ぐために、合剤と言って、いくつかの薬が一緒になった錠剤が処方されたり、内服薬を一包化したりといった工夫があります。

7.2 副作用と対処法

降圧薬に共通する副作用として、血圧が下がり過ぎることによる、めまい・立ちくらみがあります。新しく内服を始めるときや、薬の種類を変えるときは、急な血圧低下に気をつけましょう。特に高齢者は1日の中でも血圧の変動が大きいことがあり、入浴後など血圧が下がりやすいタイミングには注意が必要です。

8. 高血圧とライフステージ・合併症

8.1 妊娠を考えている/妊娠中

妊娠中はACE阻害薬およびARBは使用が推奨されません。妊娠を考えている場合は医師と薬剤選択について相談しましょう。

8.2 糖尿病・腎臓病など他疾患がある場合

糖尿病患者で蛋白尿を有する場合は、腎保護作用のあるACE阻害薬やARBが推奨されます。

9. 高血圧緊急症 – すぐ受診すべきサイン

高度高血圧(180/120mmHg以上)で、頭痛や吐き気、胸痛、呼吸困難、視力低下など、進行性の臓器障害を疑う症状がある場合は、緊急での血圧管理が必要となることがあります。

10. 当院でできる検査・アプリによる治療

当院では、高血圧治療補助アプリ(CureApp HT)を用いた治療を行っています。アプリを用いることで、日常生活での注意点やアドバイスを気軽に受けることができます。治療補助アプリによって降圧薬の量を減らしたり、食事・運動療法のみで血圧コントロールができたりする可能性があります。

また、管理栄養士による栄養指導を実施しているほか、院内でABI検査や頸動脈エコーによる血管評価を行うことができます。

治療や検査について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

CureApp HTについて詳しくはこちら

11. 参考文献

  1. 日本高血圧学会.高血圧治療ガイドライン2019.ライフサイエンス出版.2019年.
  2. Sacks FM, Svetkey LP, Vollmer WM, Appel LJ, Bray GA, Harsha D, Obarzanek E, Conlin PR, Miller ER 3rd, Simons-Morton DG, Karanja N, Lin PH; DASH-Sodium Collaborative Research Group. Effects on blood pressure of reduced dietary sodium and the Dietary Approaches to Stop Hypertension (DASH) diet. DASH-Sodium Collaborative Research Group. N Engl J Med. 2001 Jan 4;344(1):3-10. doi: 10.1056/NEJM200101043440101. PMID: 11136953.
  3. Mann JFE. Patient education: High blood pressure in adults (Beyond the Basics). In: UpToDate, Townsend RR (Ed), Wolters Kluwer. (Accessed on May 24, 2025.)

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